mizunowa49
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1 はじめに平成27年4月の着任後間もなく、日本下水道事業団研修センターの花輪所長、渡邊准教授がお見えになり、「下水道の将来を担う全国の若い担当者の皆さんに特別講義をお願いしたい。」とのお話しをいただきました。一瞬戸惑いましたが、ありがたいお話でしたので、私で良ければとお引き受けさせていただきました。埼玉県下水道公社は、下水道知識の普及啓発、調査研究そして流域下水道の維持管理を目的に、昭和54年2月1日全国初の下水道公社として誕生しました。本社と5支社1支所、職員数113名の体制で、県内9箇所の水循環センターのうち6箇所(3箇所は包括民間委託)の運転・維持管理を行っています。埼玉県の流域下水道は公社設立から遡ること13年前の昭和41年4月に、大阪府の寝屋川流域下水道に続く全国2番目の流域下水道として、荒川左岸流域下水道の事業に着手したことから始まります。その処理場である荒川水循環センター(現況処理能力:日最大1,070,400立方メートル、所在地:戸田市笹目地内)は、昭和47年10月に供用を開始し、今年で44年を迎えます。この供用開始とほぼ同時期の昭和48年5月に荒川水循環センターに隣接する現在の地において日本下水道事業団による研修が開始されました。こうした縁もあり、これまで多くの公社職員が研修センターの講師としてお招きいただき、講義を通して職員自らも成長させていただきました。平成27年度も処理場管理や包括的民間委託など17の講座を担当させていただいております。前置きが少し長くなりましたが、平成27年12月7日に行った講義の概要を振り返ります。2 下水道の未来創造のために特別講義は、「下水道の未来創造のために」という、やや振りかぶったテーマで展開してみました。これには大きく2つの背景があります。第一に、埼玉県では流域関連都市が47市町あり、県全体の処理人口の約92パーセントを流域下水道がカバーし、それによる普及率も約83パーセントとなっています。今の時代、生まれた時からパソコンはあり、スマホも普及しました。ともすれば、下水道はあって当たり前、あることさえあまり意識しないで利用しているのではないでしょうか。社会の枠組みを学ぶ小学校時代ですが、本県では児童の下水処理場の見学者数が10年前の5分の1まで少なくなっています。未来に生きる子どもたちが、清潔で快適な今の生活を続けられるため、先人が建設してきた下水道の仕組みと大切さをしっかり伝える必要があります。もう一つは、下水処理はその過程において多くのエネルギーを消費するとともに、大量の温室効果ガスを発生していることです。本県では全水循環センターから発生する温室効果ガスは全ての県有施設(学校施設も含む)から排出される量の約半分を占めています。下水道の取り組みが、地球温暖化防止計画の実効性を高める鍵を握っているのです。講義では、こうした背景を基に「次世代を担う子供たちのために」として、動画も交えながら、1日で4,200人の来場者を迎えた第19回荒川・下水道フェスタの模様や夏休み親子下水道教室、昨年の下水道展のマスコットキャラクター総選挙で1位を獲得した「クマムシくんとなかまたち」、さらには県(20)研修みずのわ第49号~意気に感じる下水道・特別講義体験記~公益財団法人 埼玉県下水道公社 理事長酒巻 和彦

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