mizunowa50
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平成26年度の運営補助金廃止に伴い、研修受講料の大幅な値上げを行わざるを得ない状況となりましたが、平成26年度は前年度の約7割の2,164名、平成27年度には2,307名の方が受講され、今年度も若干の増加傾向となっています。これは、各地方公共団体のご理解とご協力を始め、全国市町村振興協会の中で現在13県の市町村振興協会から研修受講料を助成して頂いていることも大きく影響しているものと考えております。改めて心より感謝申し上げます。*****さて、「知行合一」とは陽明学の命題のひとつであり、吉田松陰の私塾「松下村塾」の掛軸に掲げていた名言として良く知られています。一方で、朱子学には「先知後行」という学説があり、両者には「知」と「行」に対する順序、軽重の程度と二つの概念についての分離性、一体性に違いがあると言われています。つまり、前者が知識と行為は一体であり知は実践を伴わなければ意味がないと捉えているのに対して、後者はまず理論を知りその後に実行するという考え方であると解説されています。当研修センターでは、実務・実践とそのために必要な知識は一体であり、研修とは学びながら並行して実践されて行くものと考えています。このため、技術基準や指針を講義するとともにできる限り実習・実演を通じて模擬的な実践を体験していただけるカリキュラムを組むこととしています。ただそれだけでは多くの研修機関とそれほど大きな違いはありません。私は、「知」と「行」を一体として繋ぐため、人と人の間で「伝える」「感じる」「想う」など意識の介在について認識する必要があるのではないかと考えています。人は誰でもそれまでに体験した部分的な知識しか持っていません。形式的に与えられる知識、模擬的な体験を通じて得た知識のほかに、人と人の相互の関係から主体的に習得した知識こそ真の実践に通じるものだと考えられ、受講生が相互に触れあうコミュニティの中で互いに学び合い、実践における状況対応力が形成されていくものと想像されます。*****現在、研修センターでは老朽化・陳腐化対策に併せて女性受講者の増加への対応や浴室など寮生活を快適に過ごしていただくために施設の再構築について検討しています。その中で、開講以来4人を一つのグループとして研修寮室内で滞在するいわゆる合宿方式を採ってきましたが、この方式はJS研修の大きな特徴となっていることを踏まえ、研修仲間の交流の場として「知行合一」の実現を図りつつ、受講される方々のプライバシーやアメニティーにも配慮した計画となるよう検討して行きたいと考えています。(1)研修みずのわ第50号巻頭言「知行合一」 日本下水道事業団理事 畑田 正憲

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