雨水通信教育システム~雨道場~ No.007
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【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(ケーススタディー)近年では、都市の再開発や市街化の進展等にともない、市街地における雨水の浸透面積が減少し、雨水流出量が増大するとともに短時間に流出するようになってきています。そのため、下水道や河川などの排水施設が流下能力不足を招き、浸水被害が増加する傾向になったものと考えられます。そこで、都市化の進展等による雨水流出量の増大に対して、貯留・浸透させ、できるだけゆっくりと流出させたり、流出総量を減少させたりする雨水流出抑制対策が有効と考えられます。雨水流出抑制方法には「雨水貯留型」と「雨水浸透型」に大別され、下水道管理者自ら設置・管理するもの以外の施設も多数あります。①雨水貯留型:雨水の流出量は変わらないが、雨水を貯留することによりピーク流出量の一部をカットして、下流への流出量(負荷)を平均化する方法・オフサイト貯留→ポンプ場の雨水調整池や下水道管内貯留など、流出した雨水を集水して別の場所で貯留するもの・オンサイト貯留→宅地内や公園、学校の校庭などのオープンスペースを利用して、降ったその場所で貯留するもの②雨水浸透型:雨水を浸透させることにより、雨水流出量そのものを抑制する方法・宅地内排水施設や地先下水道施設における雨水浸透ますや浸透管の採用、道路における浸透式舗装の採用次に、雨水流出抑制計画の策定にあたっては、次のような点に留意する必要があります。①雨水管理計画上の位置づけを踏まえ、雨水流出ピーク量をどの程度まで低減させるかを設定したうえで、流出ハイドログラフを算出して流出抑制施設の必要貯留量、または雨水浸透量を算定します。②雨水流出抑制の配分量や治水安全度のレベル、将来的な年の開発計画、河川の整備計画など、他の施設計画と十分な調整を図る必要があります。③所定のオンサイト貯留による抑制効果や計画浸透能力の発揮に必要な施設個数が設置されるまでには長期間を要することが多いので、注意が必要です。④雨水流出抑制施設を雨水管理計画に位置づけるためには、その維持管理が担保され、貯留・浸透機能の継続性を確保できることが必要です。⑤公的な施設のみならず、私的な施設(一般宅地等)における雨水流出抑制施設の設置・導入を促進するため、条例等の法的制度や補助・融資制度を整備することも有効です。※問題の回答・解説は、あくまで問題作成者の見解であり、個別の事象を適切に解決できるものとは限りません。雨水通信教育システム~雨道場~2015.5月号No.007導入編30

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