雨水通信教育システム~雨道場~ No.007
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雨水通信システム~雨道場~【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(ケーススタディー)キャリブレーションを行うにあたっては、浸水が発生した際の各種データを収集し、再現性の確認を行う必要があります。収集が必要なデータとして、以下のようなデータが考えられます。2015.5月号No.007㈱東京設計事務所の協力により作成※問題の回答・解説は、あくまで問題作成者の見解であり、個別の事象を適切に解決できるものとは限りません。•浸水が発生した際の降雨データ(ハイエトグラフ)近年増加傾向にある短時間集中豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)などでは、数分間のうちに降雨状況が変化する降雨も多数発生していることから、1分、5分、10分等、時間間隔が短い詳細なデータを収集し、時間的偏在性を表現することが望ましい。今回のケースでは、近傍に雨量計(雨量観測地点)が3地点あることから、全地点のデータを収集し、ティーセン分割※などにより各地点の降雨域を設定して、降雨の空間的偏在性(空間分布)を表現することが望ましい。•下水道管渠内の降雨時の水位・流速・流量の時系列データ対象流域の地域特性や水理特性を表現するため、水位・流速・流量等の時系列実測データを用いてパラメータの調整を行う。時間間隔は、降雨の変動状況を考慮するため、降雨データと同様に1分、5分、10分等、時間間隔が短い詳細なデータを収集することが望ましい。※ティーセン分割:隣り合う地点間を結ぶ直線に垂直二等分線を引き、各地点の最近隣領域を分割する手法•ポンプ場の運転実績の時系列データ(稼働台数、時間、流量等)ポンプ施設の施設情報(ポンプ井形状、ポンプ口径、H-Q曲線等)や制御方法(起動・停止水位等の運転ルール等)を組み込んだ解析結果と、運転実績情報(稼働台数、時間、流量等)の時系列データの比較により、モデルの検証を行う。運転実績情報の時間間隔は、降雨の変動状況を考慮するため、降雨データと同様に1分、5分、10分等、時間間隔が短い詳細なデータを収集することが望ましい。•時系列の河川水位観測データ河川との一体解析を行う場合や、雨水吐口の境界条件設定において、河川に水位計が設置されている場合は、水位観測データを収集する。時間間隔は、降雨の変動状況を踏まえて降雨データと同様に1分、5分、10分等、時間間隔が短い詳細なデータを収集することが望ましい。なお、雨水吐口の境界条件設定では、河川水位観測データがない場合は吐口部の河川計画高水位(H.W.L)を境界条件として用いることが一般的であるが、時間間隔が長い水位観測データ(30分、1時間等)でも、計画高水位(H.W.L)を設定するより現実的なモデルとなる可能性があるため、それを踏まえて検証を行うことが望ましい。応用編41

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