雨水通信教育システム~雨道場~ No.008
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雨水通信教育システム~雨道場~2015.7月号No.008【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(ケーススタディー)集中豪雨による水害は、河川氾濫による広範な流域での発生(外水起因)や、下水道整備区域等で生じる短時間集中豪雨による局所的発生(内水起因)のものなど様々です。従って、特に下水道整備区域においては外水および内水を含めて都市に潜在する全ての水害リスクを明示したハザードマップを市民に周知することが重要です。すなわち、「外水」を対象とした洪水ハザードマップに、「内水」を対象とした詳細な浸水想定区域と水害予測情報を盛り込んだ、総合的(=外水+内水)ハザードマップを作成し、住民に周知する必要があります。図にハザードマップ作成のフローの例を示します。作成フローの例基礎調査過去の浸水と浸水被害、地形、土地利用、既存施設の排水能力、放流先の能力等の資料を収集・整理対象区域の特徴分析上記資料により過去の浸水被害の発生要因を様々な観点から総合的に分析することで、対象区域の特徴を把握する流出解析モデルの構築作成解析計算のため、対象区域の地形、土地利用、下水道施設等(地表面、排水路、貯留施設、浸透施設等)をモデル化する河川管理者作成氾濫想定区域図氾濫・浸水想定区域の作成過去の浸水実績の再現浸水想定区域および浸水深の計算内水浸水想定区域図の作成河川氾濫・内水浸水想定区域の統合・区域図作成総合水害ハザードマップ原案の作成ハザードマップ記載項目の検討避難場所・ルート等の検討総合水害ハザードマップ原案の作成ホームページ等での公開と意見聴取ハザードマップ原案のホームページ等での公開市民の意見聴取総合水害ハザードマップの修正・策定検討委員会及び住民の意見を反映し、総合水害ハザードマップとする市民へのハザードマップの配布、啓蒙活動方法の取りまとめ(株)日水コンの協力により作成内水ハザードマップの作成方法については、平成21年3月に国土交通省が策定した「内水ハザードマップ作成の手引き(案)」をご覧ください。本手引きでは、内水浸水想定手法としては、浸水シミュレーション等を活用した手法のほか、データが不十分な場合においても住民に対して早期の注意喚起が必要であること等を鑑み、既往の浸水実績を活用した内水浸水想定手法も可能としています。手法①浸水シミュレーションによる手法②地形情報を活用した手法③浸水実績を活用した手法概要 地域特性等を踏まえて、解析プロセスを適切に組み合わせて浸水シミュレーションを行う手法【解析プロセスの組合せ例】1)流出解析+管きょ内解析+ 地表面はん濫解析2)流出解析+地表面氾濫解析3)流出解析+管きょ内解析 下水道施設等の現況流下能力(設計上の流下能力)以上はあふれて氾濫するものとし、あふれた雨水は地区の低平地等に全量浸水するとして内水浸水想定区域を設定する手法 既往の浸水実績をもとに地形情報等を踏まえた浸水区域の補正を行い、浸水想定区域を設定する手法備考 見直し時には浸水シミュレーションの高度化についても検討していく必要がある。 浸水シミュレーションに必要なデータが不十分で当該手法を採用した場合には、データの充実を図り、見直し時には浸水シミュレーションによる浸水想定を検討していく必要がある。【内水浸水想定の主な手法と概要】導入編26

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