雨水通信教育システム~雨道場~ No.009
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雨水通信教育システム~雨道場~【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(基礎知識)第1問の回答雨水流出量算定方法には、右表に掲げられるものがあるが、自然流下管の断面算定においてはピーク流量算定モデルで良いが、貯留や浸透など容量を算定する場合には時間的変化を表現するハイドログラフ算定モデルが必要となります。このような基本的な選定方針に加えて、河川に比較して小流域である点、都市域の土地利用状況(浸透域有無)を反映させる点、急激な流出が発生しやすい点に配慮すると、各目的に応じて次のように算定方法を選択することが望まれます(右表参照)。(1)目的:浸水対策/自然流下管の断面算定回答⇒①実験式または②合理式※②の採用例が多い(2)目的:浸水対策/貯留施設の容量算定回答⇒③合理式合成法または④修正RRL法※③の採用例が多い(3)目的:浸水対策/浸透やオンサイト貯留による流出抑制効果回答⇒④修正RRL法※浸透やオンサイト貯留の効果を評価するモデル(有効降雨モデル)が組み込まれているため(4)目的:合流改善対策/未処理放流の状況把握・雨水滞水池の容量算定回答⇒④修正RRL法※年間を通じた計算を行うため、小降雨に対する適合が良いため※注記:タンクモデルは、年間を通じた河川流量の算定に用いられることが多く、下水道における適用例は少ない(問題作成者の見解)。【参考文献】●実験式・合理式:下水道施設計画・設計指針と解説前編2009年版(社団法人日本下水道協会)P.75~77●合理式合成法・タイムエリア法・修正RRL法:下水道施設計画・設計指針と解説前編2009年版(社団法人日本下水道協会)P.180~185●タンクモデル:建設省河川砂防技術基準(案)同解説・調査編(平成14年7月15日改訂新版第8刷)P98~99流出特性地形土地利用状況非線性実績洪水との同定合理式を用いた計画量との整合定数の設定計算の容易さ適用できる面積の規模地形勾配で表せるが10%以下は適用できない流出係数で表せる4√1/Aの形である程度表せる組み込まない降雨強度を一定とするため不可能合理式との関係の使用よりある程度可能簡 易簡 易△○△××△○○地形勾配で表せるが10%以上は適用できない流出係数で表せる6√1/Aの形である程度表せる組み込まない降雨強度を一定とするため不可能合理式との関係の使用よりある程度可能簡 易簡 易○△××△○○流達時間の形である程度考慮される流出係数で表せる流達時間の形である程度考慮される組み込まない流出係数でピーク流量と合わせる簡 易簡 易200㎢未満△○△×△○○○河川計画でよく利用される方法には流路延長で表す河川計画でよく利用される方法に考慮されないモデル自体は線形組み込まない実績洪水から単位図の算出合理式との関係は不明簡 易コンピュータで計算が必要中,大規模の流域に実例が多い××△×○×○○合理式と同様合理式と同様合理式と同様組み込まない流出係数でピーク流量のみ合わせる簡 易コンピュータで計算が必要小規模の流域に実例が多い△○△×△○○△到達時間の算定式の比例定C で表せる同左到達時間け有効降雨の関数道路あるいは下水道整備状況程度をC 定数で表す有効降雨モデルの定数及びC 定数で合わせる同モデルの概要は合理式に近い地形及び土地利用条件,又は試行錯誤的な計算により設定は可能コンピュータで計算が必要0.10㎢~数100㎢△○○△○△○△等流下時間域図の形で間接的に表す有効降雨モデルに考慮されるが流出モデルに考慮されないS=KQPの形で表す下水排水特性S=KQPの形で表す有効降雨モデルの定数のみ貯留効果の考慮という点は合理式と本質的に異なる下水管網図より等流を仮定して計算するコンピュータで計算が必要△×○△××△△地形勾配で表す等価粗度で表すh=kqPの形で表す等価粗度で表せるが,まだ実用的段階になっていない有効降雨モデルの定数及びk,p合理式との関係は不明試行錯誤的な計算により設定も可能コンピュータで計算が必要斜面ごとの分割が必要△○○×○×○△貯留関数定数k,pの形で間接的に表すが,実用的段階ではない貯留関数定数k,pの形で間接的に表すが,実例はまだ少ないS=KQPの形で表す組み込まないk,p,Teで合わせる貯留効果の考慮という点は合理式と本質的に異なる試行錯誤的な計算により設定可能コンピュータで計算が必要10~1000㎢△△○×○×○△モデルの定数と地形との関係は不明同左多孔タンクで表す組み込まない孔の大きさ及び高さで合わせる合理式との関係は不明定数が多いコンピュータで計算が必要××○×××△△ピーク流量算定手法実験式ビュリクリ・チグラー公式ブリックス公式合理式モデル名流域特性治水施設の特性実用性ハイドログラフ算定モデル単位図合理式+単位図(合理式合成法)(タイムエリア準線形貯留型モデル修正RRL法等価粗度法貯留関数法タンクモデル※出典:「下水道施設計画・設計指針と解説前編2009年版(社団法人日本下水道協会)P.174(株)NJSの協力により作成導入編2015.9月号No.00915

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