雨水通信教育システム~雨道場~ No.010
30/40

雨水通信教育システム~雨道場~2015.11月号No.01030【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(ケーススタディー)①計画レベルまで雨水整備が完了していない場合、浸水対策の内容は多岐にわたります。対策施設規模は一般的に下水道が対策対象とする5~10年確率降雨に対応したレベルで決定されますが、浸水実績と浸水シミュレーションから、最初に着手する対策は既往降雨等の浸水実績を解消、または軽減できるものとすることが有効です。浸水実績を有する既往降雨が下水道計画降雨を超過する場合、「浸水の解消」ではなく、「浸水の軽減」を対策目標とすることも有用です。目標設定の事例としては、「道路冠水の許容」や「家屋被害(床上浸水)の解消」などがあります。②対策の投資効果・発現効果を確認は、費用効果分析を行うことが有効です。浸水対策施設は5~10年確率降雨での浸水解消を目標に施設規模が決定されますが、これを超過する降雨においても浸水軽減効果があります。雨水施設の費用対効果(B/C)のうち、「C:Cost」は建設費や維持管理費となりますが、「B:Benefit」は様々な規模の降雨における浸水シミュレーションに基づき浸水被害額を算定し、これに各種降雨の生起確率を乗じたものの平均額である「年平均浸水被害軽減額」を用います。また、評価期間は対策施設の供用開始から構造物の標準耐用年数である50年間とすることが一般的です。投資効果を得るためには、評価期間内にB/C>1となることが必須ですが、それとともにいかに早い段階でB/C>1とするかが重要です。B/C>1を達成する時期が早いほど、即効性の高い対策といえます。▲段階的な対策目標事例CostBenefitB/C即効性投資効果▲費用対効果B/Cの算出例※問題の回答・解説は、あくまで問題作成者の見解であり、個別の事象を適切に解決できるとは限りません。参考文献:「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」(2006年日本下水道協会)「治水経済調査マニュアル(案)」(平成17年4月国土交通省河川局)(株)NJSの協力により作成導入編

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です