雨水通信教育システム~雨道場~ No.11
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雨水通信教育システム~雨道場~262016.1月号No.011【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(ケーススタディー)計画降雨に対応した雨水の整備手法は、管きょの排水能力を確保する等のハード対策が基本となりますが、既存水路を有効的に活用することが前提となります。放流先となる河川の改修が困難で所要の放流量を確保できない場合等については、総合治水対策として河川や下水道へ流入する雨水を抑制する流域対策を基本とし、雨水流出抑制手法をとりいれることを検討します。◆流域対策河川流域全体での治水安全度を向上させるため、河川事業、下水道事業、流域内の公共施設及び住民のそれぞれが役割分担し、流域全体で対策を進める必要があります。雨水流出抑制施設を取り入れる際には、民間施設での開発行為や個人宅における簡易な施設の設置を政策的に誘導するなど、都市全体として総合的に対応を図ることが重要です。◆雨水流出抑制対策雨水流出抑制対策には、内水排除のための貯留池や貯留管、河川流域という広域的視点から位置づけする流域調整池や遊水池などの雨水貯留施設、浸透ます・浸透管や浸透舗装のような雨水浸透施設があります。①雨水貯留施設雨水貯留施設は雨水の総流出量に変化はありませんが、流出した雨水を一時的に貯留して、下流への流出量を平準化することによって、ピーク流出量を抑制するものです。降った雨をその場所に貯留するオンサイト貯留と、流出した雨水を集水して別の場所に貯留するオフサイト貯留があります。雨水貯留施設は、排水区域における土地利用計画、放流側の河川などへの整備計画と整合した許容放流量に基づいて計画する必要があります。堆積する土砂などの排除や清掃が容易となる構造・方式を検討する必要があります。また、既存のため池など、貯留施設として有効な施設を計画的に位置付けし、活用することも有効です。②雨水浸透施設雨水浸透施設は、降った雨を地中に浸透させることによって、雨水総流出量そのものを減少させる効果があります。地下水の涵養効果が期待できますが、目詰まりによる長期的な機能の維持、地下水汚染等に対する課題があります。雨水浸透施設には、浸透地下トレンチ、浸透ます、浸透舗装、貯留構造体を用いた浸透槽等があり、浸透施設単独で設置されることは希で、各種の流出抑制施設と組み合わせて設置されることが一般的です。集水区域の規模、設置場所の土地利用状況等に配慮し、浸透ますと浸透トレンチなど各種の雨水浸透施設の構造様式と組み合わせたりオンサイト貯留施設と組み合わせたりします。計画に際しては、浸透性の良い土質で、地下水位の低い地域が望ましく、将来の目詰まりによる浸透能力の低下に対しての余裕や能力回復のための手法について検討する必要があります。◆危機管理対応の充実特に都市においては、地下空間利用が進んでいることもあり、浸水発生時の避難のための情報公開が重要となります。ハザードマップを作成周知し、降雨情報や河川・下水道管きょ内の水位状況の公表など、危機管理のシステムの充実を図ることも必要です。※問題の回答・解説は、あくまで問題作成者の見解であり、個別の事象を適切に解決できるものとは限りません。オリジナル設計(株)の協力により作成導入編

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