雨水通信教育システム~雨道場~ No.11
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雨水通信教育システム~雨道場~282016.1月号No.011【問題の回答・解説・基礎知識の学習】(ケーススタディー)基本的な対応方針としては、まず、現行の整備水準となる雨水管渠での流下能力が適正であるか、レベルアップが必要であるかを見極める必要があります。ゲリラ豪雨とはいえ、今後、毎年のように発生し続ければ、これまで対応しているはずであった雨水の確率年も信憑性がくずれかねないからです。ここでは、レベルアップが前提として対応方法を示します。①ハード対策としての対応整備水準をレベルアップする場合、まず、考えられるのは流下能力増強を図るために、増補管やバイパス管といった対応がありますが、下水道整備が概成している区域においては、容易に対応することは難しいと考えます。そこで、現行施設の能力をよりシビアに把握するとともに設計時に見込まれた余裕等を最大限生かすために、シミュレーションによる既存施設の能力確認を行うことが重要です。シミュレーションにより能力を把握した後は、現行整備水準からレベルアップすべきと判断した整備水準まで、バイパス管や貯留施設等を組み合わせて浸水解消を目指します。超過降雨とみなした豪雨への対応については、流出抑制施設による対応が主となります。公園や校庭、広場等のオンサイト施設、雨水調整池や雨水貯留管等のオフサイト施設、雨水流出量そのものを減少させる浸透施設を組み合わせた対応により浸水軽減を目指します。超過降雨への対応は、ただでさえ多大な費用を要する雨水整備を進める根拠として、費用効果分析を含め地域の特性を踏まえて優先順位を明確にしておくことが重要です。②ソフト対策としての対応ソフト対策は、特に浸水解消が困難な超過降雨時の対応として重要な役割を果たすと考えます。ソフト対策には、公助によるものと自助・共助によるものがあり、前者は効率的な維持管理体制の構築、情報収集・提供、他の事業主体との連携、自助対策の支援等があります。後者は主に地域住民の協力が前提となるものであり、日常における道路雨水ますの清掃、降雨時の土のう積み、災害発生時に向けた自主的訓練、災害ボランティアとの連携等があり、今後の雨水対策の一部として非常に重要な役割を担うものとして期待されています。ただし、自助・共助によるソフト対策は、地域住民がどのような対応を実施していけばよいかを把握しない限り発展は望めないことから、理解を深めるため、日頃から啓発活動を通じて行政サイドで実施する対応、自助に求める対応について明確化し、個人が受けもつ対応の重要性を認識していただき、協力を得る必要があります。ソフト対策は、ハード対策との組み合わせにより効果を発現する場合がほとんどであるので、地域の特性を考慮のうえ、段階的な発現効果を確認しながら目標に到達していくことに留意する必要があります。地域住民にとって、浸水によるリスクを軽減するためには、迅速に最新の情報の提供を受けることが不可欠ですので、ハザードマップ等による事前の情報提供を更に改良し、リアルタイムな情報提供を目指すことが重要です。※問題の回答・解説は、あくまで問題作成者の見解であり、個別の事象を適切に解決できるものとは限りません。オリジナル設計(株)の協力により作成導入編

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