mizunowa50
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私は、日本下水道事業団を2016年3月31日付で退職いたしました。研修センター在職中は皆様には大変お世話になりました。あらためて厚く御礼申し上げます。研修業務は、私がJSに勤務した全期間の内の約3分の1を占め、締め括りの場所となったこともあり強く印象に残っています。今回、「みずのわ」の執筆依頼がいただけましたので現役では語れない裏話などを含め、研修の思い出について披露させていただきます。研修では事前に受講予定の研修生に、研修生活をお手伝いいただく役員やディスカッション課題の提出依頼のために電話でご本人の声を聞くことができます。実は、私にとってはここから研修が始まっているといっても過言ではありません。研修の事前調査票に添付されている写真や電話の声から人となりについていろいろ想像してみます。時には強面の写真の人が大変丁寧な電話応対をしていただけたり、ノー天気そうな人がブルーな感じだったりとどんな研修になるか研修への期待は膨らむばかりでした。JS研修は、長いもので3週間、短いもので1週間の研修期間があり基本的に1部屋に4人から7人の合宿生活となります。開講日、見知らぬ土地で見知らぬ人との合宿生活に緊張する研修生も少なくありません。こうした場合、コース担当の先生の多くは研修生の緊張を溶く術を持っていますが、私の場合、私自身が緊張しているので研修生の緊張は溶かれるどころか硬直状態となります。そのため、引きつった状態で開講時の懇親会に臨むことになり、お酒で緊張が解放された反動で異様な盛り上がりになることもしばしばでした。研修生が持参する地元の隠れた銘酒が振る舞われることも多く、戸田に居ながら全国の銘酒が味わえるのは役得でした。ご馳走さまです、ありがとうございました。研修は盛り上がりの頂点で修了式となるのが常でした。修了式は私の最も苦手な場面です。時間を共有した皆がばらばらになることにある種の郷愁を感じるときだからです。友との別れに号泣する研修生もいました。今でも下水道展に合わせて研修の同窓生が集まる席にお招き頂くことがあり、光栄に感じています。研修生はそれぞれ立派に成長し、各地域のためにご活躍のこととお慶び申しあげます。研修を通じて学ばせていただけたことは多くあります。その一つはコース担当の心構えが研修に反映されることです。コース担当に就いた当初は教室の机の乱れやテキストの並び方をほとんど気にしませんでした。あるときそんな教室の研修に限って研修生の集中力が欠如しがちなことに気づきました。それからは、開講日に机の縦、横が一直線に整い、テキストが整然と並ぶ清められた教室内に研修生を迎えることにしました。これを境に、目を輝かせて受講する研修生や背筋を伸ばして聴講する姿を目にすることが多くなりました。何よりも私自身の研修に臨む姿勢が変っていました。研修に送り出した者、送り出された者の貴重な時間を考えれば1日たりとも無意味な時間はあってはならないと。退職後に私は公益社団法人日本下水道管路管理業協会(以下、管路協会と称す)に勤め、下水道関係の仕事が続けられることとなりました。管路協会は地震災害時などの管路施設の復旧支援事業も行っており、先の熊本地震でも全国約100社に及ぶ協会員が支援を行ったところでございます。管路協会との災害時復旧支援協定は平成28年11月18日現在163の地方公共団体等と締結している状況です。県内丸ごと締結を希望するところも出てきており最近の災害の発生状況を反映したものかと驚かされます。地方にお訪ねした際に皆様にお会いすることもあろうかとおもいます。気軽にお声かけいただけたら嬉しくおもいます。では、皆様、元気にご活躍ください。研修生同窓会の集合写真第50号研修みずのわ(36)退任教官紹介研修に想いを馳せる(元)JS研修センター教授(現)(公益社団法人)日本下水道管路管理業協会太田 秀司

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