mizunowa50
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を発酵させてから、図面をその中に入れて作っておりました。金抜きは、カーボンを入れて描くわけですが、6、7枚しか写らないので、数が多いと作るのが大変でした。それから、湿式の機械が入った時も便利にはなりましたが、今のコピー機と違い手間はかかりました。設計書を焼くと、設計書はペラペラなので機械の中に入って、びっしょりになって、だんだん黄色くなってしまったりして。地元説明会での資料は、鉄筆でガリ切って、それで印刷にかけてました。印刷といっても、謄写版で、乾かして配る、そういう時代でした。私が役所に入所したのが昭和48年のオイルショックの時代でしたので、物価上昇がすごくて、1回工事を出すと3回ぐらい設計変更しないと単価がもう合わないということもありました。管更生の走りのようなこともやってました。○細川所長 市長さんが現役の頃に管更生ですか。今は脚光浴びていますが当時はそうでもなかったのでしょうね。○澤井市長 光や熱で硬化するのがありまして、上手に施工しないと変なところにしわが寄ってくるんです。だから、エアーで膨らましながら、試行錯誤しながらやってました。それからテレビカメラを使った管路内の調査もやりました。今は性能も格段によくなっているようですが、当時は、スチールのメジャーをテレビカメラにつけて、カメラだけ自動で走行するというものでした。真っ直ぐだといいのですが、取り付け管など真っ直ぐではないので、合わなかったりしました。試行錯誤を繰り返していました。今は、様々な機器や装置などが開発されて便利になりました。パソコンがあれば大抵のことはできます。図面もCADで描いてくれますし、積算や計算もやってくれます。ただデータの入れ間違いは怖いです。簡単に間違う可能性がありますし、結果が出力されて、初めて誤りに気付きます。気付けばいいのですが、どこがおかしいかも分かりにくくなっているのではないでしょうか。○細川所長 市長さんの「下水道」それから「技術」に対する熱い想いが伝わってきます。最後にJSの研修に対して今後期待することをお聞かせ下さい。○澤井市長 「下水道」なら「下水道の本当の技術屋」を養成してほしいです。下水道は整備が進み、これから更に技術者は少なくなっていくのかも知れませんが、やはり、そのセクションの研修を実施するなら、「本当の技術屋を養成する」ということが必要かなと思います。また、特に技術屋さんですので、「人の嫌がる仕事ができる技術屋を育成してほしい」というのが一番思うことです。様々な便利な道具や機器がでてきて、パソコンを使ってみて思ったことですが、「使っている」のか「使われているか」よくわからないのではないかと。システムを全部理解しなくてもいいので、本当に基本的なことを理解した上であれば、元へ戻れると思うんです。今の技術屋さんは、元に戻れないのではないかなと思うんです。基本や基礎を理解することは、重要で、大切にしていただきたい。それと「自分の体は全て寸法を知れ」と申し上げたい。目線の位置、足の歩幅、それから指が何センチあるかなど、現場で、「自分の目線の高さから見たて、こんなに上がっているのがおかしい」と現場でわかる。自分の歩幅を知っていれば、遊びにも利用できます。例えばゴルフに行って、カップまでどのくらいかなというとき、カップまで歩いて、「大体何メーターだから強さはこれくらいかな」となります。現場に行ったときに、我々は歩いてみると、「ああ、これだけあるなと」分かります。当時は、「自分の体は何センチなのかよく知っておけ」ということを言われてきました。そういうことを技術屋さんがよく知っていると強いと思います。街や現場を歩いても大体目の位置で色々分かりますから。「絶対ここに水が集中してしまう」「街渠の勾配をなぜこうしたのか」「何でこんなところに街渠ますつけるのか」など、そういうところが多いですよ。○細川所長 本日は色々な貴重なお話ありがとうございました。これからも引き続き下水道事業、JSそれからJS研修へのご理解とご協力を賜りますようよろしくお願いします。(聞き手より:当初予定していた時間を大幅に超過して、JS研修や仲間との思い出から下水道事業や技術者への熱い想いまで沢山お話いただきました。澤井市長からの期待に応えるべく本当の技術者の育成へ真摯に取り組んでいかねばという想いが強くなるとともに、お話を伺う中で「私は本当の技術屋か?」ということを常に自らに問いかけ精進し続けたいと決意を新たにしました。なお、最後になりましたが、誌面の都合上、市長のお話全てを紹介できなかったことを深くお詫びいたします。)第50号研修みずのわ(4)

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