下水道技術検定の概要                       模擬試験はこちら下水道技術検定(3種) 模擬試験(5問)

 

 

 

 1 下水道技術検定の目的

 下水道法(以下「法」という。)第22条において、下水道管理者(地方公共団体)は、下水道を設置・改築する場合の設計及び工事の監督管理並びに下水道の維持管理については表−1に示すとおり下水道法施行令(以下「政令」という。)で定める資格を有する者以外の者に行わせてはならないとされている。

 すなわち、地方公共団体が行う下水道事業の管理に当たっては資格を有する下水道の責任技術者を配置することが求められているのであるが、資格要件には下水道の一定の実務経験年数を必要とされており、当初は下水道技術者が不足する状況にあった。そこで、地方公共団体における下水道技術者の不足に対処するために設けられたのが下水道技術検定制度である。つまり、十分な技術力を有しているが実務経験年数が足りず有資格者と認められない者を検定により有資格者として認定し、上水道、工業用水道、河川、道路等の下水道類似部門から下水道部門への技術者の円滑な転換導入を促進することを主な目的としている。

 

 2 下水道技術検定の区分及び対象

 下水道技術検定(以下「技術検定」という。)は、「下水道の設置等の設計、下水道の工事の監督管理又は下水道の維持管理を担当する者」について行い、その検定の区分及び対象は、表−2のとおりであり、これらを「学科試験」によって行うこととされている。

 これらの区分は、法第22条に定める下水道の責任技術者の区分と対応している。

 

表−1 政令で定める資格

下水道法施行令第15条及び同第15条の3

(区 分)

(要    件)

資格取得に必要な下水道技術に関する実務経験年数

卒業又は修了

した学校等

卒業又は修了した学科等

履修した学科目等

計画

設計

(注1)

監督管理等(注2)

維持管理

処理施設

ポンプ施設

排水施設

処理施設

ポンプ施設

第1号

新制大学

土木工学科、衛生工学科又はこれらに相当する課程

下水道工学

旧制大学

土木工学科又はこれに相当する課程

第2号

新制大学

土木工学科、衛生工学科又はこれらに相当する課程

下水道工学に関する学科目以外の学科目

1.5

第3号

短期大学

土木科又はこれに相当する課程

10

2.5

高等専門学校

旧制専門学校

第4号

新制高等学校

土木科又はこれに相当する課程

12

3.5

旧制中等学校

第5号

前4号に定める学歴のない者

 

10

10

第6号

新制大学の大学院

5年以上在学

(卒業)

下水道工学

0.5

0.5

0.5

新制大学の大学院又は専攻科

1年以上在学

下水道工学

0.5

旧制大学の大学院又は研究科

短期大学の専攻科

1年以上在学

下水道工学

国土建設学院

上下水道工学

10

2.5

外国の学校

日本の学校による学歴、経験年数に準ずる。

指定された試験

下水道管理技術認定試験

(処理施設)

指定講習の受講

日本下水道事業団

下水道の設計又は工事の監督管理資格者講習会

2.5

下水道維持管理資格者講習会

第7号

日本下水道事業団法施行令第4条第1項に定める技術検定(注3)

第1種技術検定合格

5(3)

2(1)

第2種技術検定合格

2(1)

第3種技術検定合格

第8号

技術士法による

本  試  験

科目として下水道を選択し水道部門に合格した者

利目として水質管理又は汚物処理を選択し衛星工学部門に合格した者

 

(注)1「計画設計」とは、事業計画に定めるべき事項に関する基本的な設計をいう。

2「監督管理等」とは、実施設計(計画設計に基づく具体的な設計)又は工事の監督管理(その者の責任において工事を設計図書と照合し、それが設計図書の通りに実施されているかを確認すること。)をいう。

3 この欄における経験年数は、第1種及び第2種に係るものは、下水道、上水道、工業用水道、河川、道路等に関する経験年数を、第3種に係るものは下水道、上水道、工業用水道、し尿処理施設等に関する経験年数をいい、( )内に掲げる年数以上の下水道に関する実務経験を有する者に限る。


 

表−2 検定の区分及び対象

検定の区分

検  定  の  対  象

第1種技術検定

下水道の計画設計を行うために必要とされる技術

第2種技術検定

下水道の実施設計及び設置又は改築の工事の監督管理を行うために必要とされる技術

第3種技術検定

下水道の維持管理を行うために必要とされる技術

 

3 学科試験の科目及び基準

 技術検定の学科試験の科目及び基準は、第1種・第2種については国土交通大臣、第3種については国土交通大臣及び環境大臣が定めるものとされており、昭和5010月9日に表−3のとおり告示されている。

 

4 試験の方法

 平成25年度(第39回)の技術検定は、前項の検定区分ごとの科目・基準に基づき出題され、その出題数、解答時間・方法をまとめると表−4のとおりであった。なお、多肢選択式は4肢択一式となっていた。また、第1種のみに行われる記述式については、第26回より選択解答制が採られた。5つの問題区分ごとに各2問の文章題があり(合計10問出題されている)、解答はこの5つの問題区分ごとに1問ずつ選択し、合計5問解答する方法になった。内容は、用語に対する考え方・関連事項等を問うものであり、1問につき500字以内で解答するものであった。

 

表−4 出題数及び解答時間・解答方法

検定区分

出 題 数

解答時間

解答方法

第1種技術検定

午前

60問

3時間

多肢選択式

午後

10問中5問を選択し解答する。

2時間30分

記 述 式

第2種技術検定

60問

3時間

多肢選択式

第3種技術検定

60問

3時間

多肢選択式

 


 

表−3 学科試験の科目及び基準

検定区分

試験科目

試  験  基  準

第1種技術検定

下水道計画

 下水道の配置、構造及び能力に関する計画を策定するために必要な知識を有すること。

下水道設計

1.下水道並びに下水道に設けられる機械設備及び電気設備の機能及び構造に関する一般的な知識を有すること。

2.下水道の強度計算及び構造計算に必要な知識を有すること。

3.下水道工事の施工法に関する一般的な知識を有すること。

4.下水道の設計図書に関する一般的な知識を有すること。

施工管理法

 下水道工事の施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する一般的な知識を有すること。

下水処理

下水、汚泥等の処理に関する一般的な知識を有すること。

法  規

下水道関連法規に関する一般的な知識を有すること。

第2種技術検定

下水道設計

1.下水道並びに下水道に設けられる機械設備及び電気設備の機能及び構造に関する一般的な知識を有すること。

2.下水道の強度計算及び構造計算に必要な知識を有すること。

3.下水道工事の施工法に関する一般的な知識を有すること。

4.下水道の設計図書に関する一般的な知識を有すること。

施工管理法

 下水道工事の施工計画の作成方法及び工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する一般的な知識を有すること。

下水処理

下水、汚泥等の処理に関する概略の知識を有すること。

法  規

下水道関連法規に関する一般的な知識を有すること。

第3種技術検定

下水処理

下水、汚泥等の処理に必要な知識を有すること。

工場排水

1.工場及び事業場からの排水並びに排水が下水道に与える影響に関する一般的な知識を有すること。

2.除害施設の機能及び構造に関する一般的な知識を有すること。

運転管理

 処理施設及びポンプ施設の運転その他の管理に必要な知識を有すること。

安全管理

 処理施設及びポンプ施設の安全管理に関する一般的な知識を有すること。

法  規

下水道関連法規に関する一般的な知識を有すること。

 


 

5 技術検定合格者に対する効果

 技術検定の目的は、1で説明したとおり、地方公共団体における下水道技術者の不足に対処するために、下水道に類似する上水道、工業用水道、河川、道路などの他部門から下水道部門への技術者の転換、導入を促進することである。

 技術検定に合格した場合、地方公共団体職員については、一定の実務経験年数のもとに下水道法第22条の資格が発生することになる。制度のねらいが短時日で資格を取得させることにあることから技術検定合格の具体的効果は、法が定める技術上の実務経験年数の短縮としてあらわれる。技術検定合格者が資格取得に必要な要件とされている技術上の実務経験年数は、表−5のとおりであるが、技術検定の特徴としては、実務経験年数の短縮だけでなく必要な経験年数のなかに下水道類似部門での経験年数を通算する特例措置を講じている点があげられる。

 なお、技術上の実務経験の時期は、技術検定合格の前後を問わないこととされている。

 

表−5 資格取得に必要とする技術上の実務経験年数

検定合格区分

第1種技術検定

合  格  者

第2種技術検定合格者

第3種技術

検定合格者

資 格 区 分

計画設計資格

処理施設又はポンプ施設に係る実施設計及び工事の監督管理資格

排水施設に係る実施設計及び工事の監督管理資格

維持管理資格

実務経験必要年数

下水道部門必要年数

3年(〜5年)

1年(〜2年)

0年(〜1年)

下水道施設の 維持管理

0年(〜2年)

下水道類似部門

通 算 年 数

2年(〜0年)

1年(〜0年)

1年(〜0年)

2年(〜0年)

5年

2年

1年

2年

下水道類似部門

上水道、工業用水道、河川、道路

上水道、工業用水道、し尿処理施設の維持管理

 

(注)1.下水道部門必要年数は最低必要年数であり、( )書きの年数があればこれに応じて下水道類似部門での年数は不要になる。

2.第1種技術検定合格者には、付随的に第2種技術検定合格者と同一の効果が与えられる。

 

 

 6 民間技術者との関係

 技術検定は、下水道に特有な技術的事項についての知識の有無を判定するものであり、合格者には日本下水道事業団理事長名の合格証書が交付される。

 下水道が着実に整備されつつある状況及び社会的に環境問題に対する関心が高まってきつつある状況をみると、技術検定により下水道に係る民間技術者の知識及び技術の向上が図られることは極めて重要であると考えられる。

 近時、下水処理場等の維持管理における包括的民間委託等において、民間活力の一層の活用を進める観点から、国土交通省においては民間の維持管理技術者に対しても第3種技術検定を受検するよう指導することとされている。

 国土交通省では、今後、下水道処理施設維持管理業者登録規程をはじめとする下水道の維持管理に関する各種制度における知識・能力の確認のための試験として、第3種技術検定を位置付けていくこととしているので、平成20年度において下水道管理技術認定試験(処理施設)の受験予定であった方等、下水道の維持管理に携わる方には、積極的に第3種下水道技術検定を受験されることをお勧めする。

 

 7 技術検定の実施結果

 第39回(平成251110日実施)技術検定の実施状況は、次のとおりである。

 受検申込者数は7,150人(第1種147人、第2種912人、第3種6,091人)、受検者数は6,172人(第1種92人、第2種715人、第3種5,365人)で受検率は86.3%であった。

 合格者数は1,923人(第1種17人、第2種155人、第3種1,751人)で合格率は31.2%であった。

 なお、第39回技術検定の実施地別の結果及び第1回から第38回までの区分別の実施状況は、表−6、7のとおりである。

 

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